東トルキスタン亡命政府の日中東シナ海問題について見解    

1.尖閣諸島問題について

 日本政府は1885年頃から尖閣諸島周辺の現地調査を行い、これが無人島であること、また清国政府が同諸島に対して関心のないことを確認した上で、1895年の閣議決定により日本領土に編入した。これは「無主地の先占」に該当するとして日本政府の領有主張の根拠となっている。1885年の下関条約で日本が割譲を受けた台湾・澎湖諸島の範囲について、清国は日本が領有を表明していた尖閣諸島には言及しておらず、この範囲に含まれないと考えられる。

 よって1951年のサンフランシスコ講和条約2条b項(台湾・澎湖諸島に対するすべての権利・権限を放棄する)で権利を放棄した地域には含まれない。また1953年にアメリカ政府の発表した「琉球列島の地理的境界」では、緯度・経度を示して尖閣諸島が琉球の一部であるとして、台湾の付属諸島には含まれないことを明記しているが中国側の異議はなく、よって1971年の沖縄返還協定で尖閣諸島は琉球の一部として日本に返還されたことになる。

 では、日本の先占行為は要件を満たしているのか。無主地に対する領有権限の原始取得の要件としては、領有意志と、その意志を立証するための実効的支配の2つがある。領有意志の存在は明確であるが、問題となるのは実効的支配であり、尖閣列島は無人島であるために、住民に対する行政・法秩序の維持などでは判断することはできない。沖合い遠方にある無人島の帰属を争った例(メキシコ・フランス仲裁裁判1931年)としてはクリッパートン島事件があるが、主権の布告などの行為は実効的先占の条件を満たすとし、領有宣言・監視などの国家行為は有効な領有権限となるとされている。日本政府は様々な機会にその領有意思を表明しており、また中国は異議を唱えることもなく、日本の先占行為は正当と言える。

 一方中国・台湾政府は領有の根拠として、歴史的文書をあげている。16世紀頃の冊封使録であるとみられる『順風相送』は、釣魚島を記録した最古の文書として、同島が中国人によって発見・命名されたと主張する。またその発見・命名の事実に対する中国政府の領有意志の確認として西太后が下賜したとする文書をあげ、この行為をもって実効的支配とみなしている。
しかし、尖閣諸島を記載した最古の文書があることは、中国人による発見・命名を証明するものではなく、領有意思を表明するものでもない。また西太后によるお墨付を領有意志の確認、さらには統治行為として実効的支配の証拠としているが、無人島に対してどのような行為があったのか明らかではない。

 国際法は、発見・領有意思の表現から、合理的期間内に実効的支配を行うことを求めているが、『順風相送』書から西太后の下賜まで約500年が経過しており、これは合理的期間とは考えられない。さらに、マンキエ・エクルオ諸島事件(イギリス・フランスICJ1953年)判決では、間接的な推定を引き出す証拠よりも、占有に直接関係する証拠が決定的重要性を持つとされ、この観点からみても中国の主張は正当なものではないと言える。

 このように、尖閣諸島の領有権が日本に帰属することは明らかである。日中友好平和条約でこの問題は棚上げているが、日本の主張は国際法及び国際慣習法等に照らし合わせて、正当であると認識しており、東トルキスタン亡命政府は、日本国の主張を支持するものである。

2.大陸棚の資源問題

 国連海洋法条約は76条1項で大陸棚の定義を、沿岸国の領海を超えてその領土の自然の延長をたどって大陸辺縁部の外縁までの、または大陸辺縁部の外縁が基線から200海里まで伸びていない場合は基線から200海里までの、海面下区域の海底及びその下のこと、としている。大陸棚に対して沿岸国は、その探査と天然資源開発のための主権的権利を行使できる(同77条)。それは沿岸国の固有の権利であり、実効的または名目上の先占・明示の先占に関わりなく与えられる(同77条3項)。向かい合った国の間で同一の大陸棚が帰属して重複する部分がある場合は、その資源の権利をめぐる経済問題とも絡んで、境界確定が争われることになる。

 中国・台湾は尖閣列島の領有を前提として、尖閣付近の大陸棚は中国沿岸領土の自然延長であるとの立場に立って、海底の石油に対する権利を主張する。また中国は1992年に領海法を制定し、同列島は中国領土であるとした。
一方で日本は、尖閣列島は日本領土であり、尖閣を基線として200海里の水域を設定しており、その付近の主権的権利も日本に帰属するとしている。

 境界確定については議論の多いところである。大陸棚条約によれば、大陸棚の境界確定は関係国の合意で決定し、合意のない場合には領海の基線上の最も近い点から等距離にある中間線を決定する、等距離基準により定めるとしている。
しかし、ICJはその一般的な妥当性を否定する判決を出し(1969年北海大陸棚事件)、衡平原則に従い、かつ一切の関連事情を考慮し、合意によって決定するべきだとして、それ以降、チュニジア・リビア大陸棚事件やリビア・マルタ大陸棚事件などでも採用された。国連海洋法条約83条では、この衡平原則は明記されなかったものの、境界確定に対する特別の基準を定めず、合意という国家実行を通して今後の国際法による基準の確認や発展の余地を残している。ただ合意の目標として「衡平な解決」の達成が書かれていることから、各国の国内法による一方的な確定を排除して、衡平原則に有利な推定が与えられていると言える。では日中における対立はどう解決すれば良いのか。

 ICJは大陸棚の境界確定について、自然延長論は衡平原則を実現するための補助的な一因に過ぎず、決定的なものではない、という立場を明らかにしている。またチュニジア・リビア大陸棚事件では、地理的に大陸棚の自然延長が認められる場合、確定に影響を与える場合もあるが、その他の諸要因を含めて、単独でそのまま衡平な境界確定になるとするのは誤りと判断する。よって、中国が主張する自然延長論は、地理的に見れば沖縄トラフまで連続した大陸棚であるとも言えるが、その一方的な決定は妥当ではなく、領海法の制定も海洋法条約83条で国内法による一方的決定を排除することへの期待に反する。また尖閣列島が中国領土であるために、当然その周辺大陸棚も中国に帰属するという主張が不当であることは、先に述べたことからも明らかである。一方で、日本の主張する等距離原則は、領海では原則化されているものの、大陸棚については慣習法原則性が否定されている。しかし、実際には境界確定に等距離原則が用いられることは多く、リビア・マルタ大陸棚事件では距岸200海里以内の2国間の確定について、自然延長論は権限の決定には関連性がなく、暫定的な中間線をひいた上で、無人島の存在や海岸線の長さなどの衡平な事情によって調整するとされた。よって、この事例でも中間線をもとに両国の主張する事情を考慮して決定されるのが妥当と考えられる。ただし、尖閣列島が日本領土であることは明らかであるため、同列島を基線とすることは正当であり、その上で調整を進めることになる。

 日韓における竹島問題と同様、領土問題と過去の歴史認識などとも絡んで、尖閣列島問題の解決は困難になっているのが現状であるが、交渉が不調に終わるならば、ICJに解決を求めることや、日本領海から中国領海にいたる東シナ海の全ての海域を対象とした共同開発の方式を定めることが相当であると考える。

 いずれにせよ、国際法や国際慣習法・国際機関による調停等に基づいた客観的で平和的な解決が望まれるところであり、自己の主張が容れられないとみると軍艦等を派遣し、日中平和友好条約を無視し、日本の哨戒機に艦砲を向けるなど武力によって相手側を威嚇し、実力を持って自己の主張を押し通す行為は、世界の平和と自由・平等・正義・法による支配を重視する東トルキスタン亡命政府には断じてこれを許容することはできない。

 東トルキスタン亡命政府は、このような国際平和を乱し、人権を抑圧する行動を恣意にとる中国共産党を黙視できず、イスラム諸国のみならずアメリカ・イギリス・オーストラリア・カナダ等の民主国家とも共同し、対抗していくことも辞さないことをここに明言する。
東トルキスタンは中国に侵略され、何よりも大切な祖国を失いました。それを取り戻すためにあらゆる努力をしていますが、国際社会の支持も得られず、圧倒的に大きな敵中国に、有効な手立てさえも見つけられずにおります。中国がいくら強くても東トルキスタン国民は最後の勝利を勝ち取るまで闘争を続けます。

 このような私たちから日本国民のみなさまに申し上げたいのは、ほんのわずかな領土であってさえも、中国に侵略を許してはならないということです。たとえ尖閣諸島が日本の中央からはるかに離れていようとも、中国はそこに足をかけたら、はしごでもかけたようにどんどん日本に侵入してくるでありましょう。

 そして、中国のこれ以上の軍拡を許してはなりません。中国は必ず武力を使う国です。そして中国は日本を敵視しています。中国の軍拡は、容赦なく日本にも向けられることを日本のみなさまは警戒しなければなりません。

東トルキスタン亡命政府

2005年10月7日、ワシントン